ラストショウ:細谷巖アートディレクション展

8月18日、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)に「ラストショウ:細谷巖アートディレクション展」を観に行ってきた。 1階には細谷巖の自選ポスター(22点)新聞広告(2点)が展示されています。自選と言っても社会的評価が高かった作品ばかりです。すで…

第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち」に行ってきた

開催からずいぶん経ってしまったが、8月17日(月)学術総合センター 一橋記念講堂において開催された第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち−我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」を聴きに行ってきた。登壇者は国立国会図書館長の長尾真さん、慶應…

「俺が社長だ」

読んでいた本の一節から。 山田 どんな苦労でも、自分の為だと思えば楽しめる。だからサラリーマンやってても、常に「俺が社長だ」みたいな気持ちでいればいいんじゃないかな。任された仕事に関しては、すべて自分の責任なんだから。上司に言われたからとか…

やさしいねこ。

おむかえの帰り道、あちこちで猫を見かけるたびに立ち止まり、子どもと一緒にひとしきり話しかける。時折、人なつこい猫がいて、ゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えに来てくれる。子どもは最初はおっかなびっくり、しかし慣れてくるとそれはうれしそうに、猫の…

ポメラがうちにやってきた

先月の半ば、デジタルメモ「ポメラ」を購入しました。色はトワイライトオレンジ。購入するほんの少し前まで、まったく買う気がなかったのです。外でものを書くことがあるとはいえ、外出頻度がものすごく高いわけでもないし、ノートPCもあるし(MacBookは重い…

在り続けてほしいもののために、自分ができること

突然だが、Jリーグの清水エスパルスが好きだ。よく試合を観に行くようになったのは1998年ごろ。少ししてから後援会に加入して、以来ずっと後援会員だ。そんなに急激にのめりこんでしまったのか。もちろんとても好きだから入ったのだけれど、理由はそれだけじ…

活字直彫師・清水金之助 個展

6月28日(日)、大田文化の森の一室で活字直彫師・清水金之助さんの個展が行なわれると聞き、行ってきた。活字直彫(活字地金彫、種字彫刻)とは、活版印刷で使われる活字のもととなる母型(凹型)を作るための、さらにもととなる種字(父型)を、鉛と錫の合…

五十嵐威暢「マケット展」

南麻布design shop + galleryに五十嵐威暢「マケット展」を観に行ってきた。 彫刻家 五十嵐威暢の世界を身近に感じられる、作家初の試みとなる「マケット展」を開催します。本展は作家自身が製作過程に生み出した模型(=マケット)たちを作品として再解釈し…

アートスペースVEGAの「紙袋を折りかえる・展」

自分自身のルーツと正面から向き合うことの大切さ。大きな歴史の流れのなかに確かに自分自身がいる、すべてはつながっているのだということ。そのことを痛感した体験だった。遠く連なる立山連峰、豊かに繁る木々の葉。青々とした稲のあいだを駆け抜けてゆく…

白えびづくし

一泊で富山に行ってきた。ひとつは、ある匠に取材するため。もうひとつは、かつてから訪ねたいと思っていた場所で展覧会を観るため。本当に得難い体験をした2日間で、行ってよかったと心から思う。くわしくはまた追って書くつもり。とりあえず、名産の白えび…

「倉俣史朗 To be free」藤塚光政展

過日、西麻布のギャラリー「夢のカタチ」で行なわれている写真家・藤塚光政さんの個展を観てきた。清潔感のある小さな白い空間の壁に、倉俣史朗作品を撮影した写真が1点ずつガラスの板にはさまれ、立てかけられていた。ふっと目を向けては目を離せなくなる写…

こつこつと日々を営む

先日、神保町の「さぼうる」に行った。創業54年を数える老舗だ。植物の生い茂る外壁、入口には年月を重ね鈍く光るトーテムポールと赤電話。店内はランプの光でほんのりと照らされている。コーヒーにはピーナッツ。一緒に行った方に「チーズドッグがおいしい…

あなたにとって、「生きる」とは?

前回のエントリーで書いたように、『デザインのひきだし』7号にて装丁家の菊地信義さんの記事を執筆しました。せっかくなので、4年前にNHK「ようこそ先輩」という番組で菊地信義さんの回を拝見し、深く感銘を受けたときの文章を復活させてみます。* * * …

『デザインのひきだし 7』で紙工職人・坂本政弥さん、装丁家・菊地信義さんにインタビュー。

“プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌”『デザインのひきだし』7号が発売されました。今回で第3回目になる連載「名工の肖像」*1では、紙工職人の坂本政弥さんにご登場いただきました。坂本さんは、墨田区で創業85年の紙工所を営み、…

自分の壁

壁は自分自身だ。岡本太郎『壁を破る言葉』イーストプレス,2005.4 「自分の壁」ということをよく考える。くだらないちっぽけな自分自身の思い込みが、案外さまざまな行動に踏み出すことを阻む壁になっていたりする。そしてそれは他人から見れば、なぜそんな…

道を切り開きたいのであれば、ぶつかるところまで行くほかない

夏目漱石『私の個人主義』を読んだ。この本には漱石の講演がいくつか所収されているが、表題の「私の個人主義」を読んで唸る。記録を見れば大正3(1914)年11月の講演だから、実に90年以上前に話された内容だというのに、いまなおこれだけ示唆に富んでいると…

働くことが希望になる

『この世でいちばん大事な「カネ」の話』にこんな文章があった。 生きていくなら、お金を稼ぎましょう。 どんなときでも、毎日、毎日、「自分のお店」を開けましょう。 それはもう、わたしにとっては神さまを信じるのと同じ。 毎日、毎日、働くことがわたし…

むしろ「空洞」が文章を決定づける

小川洋子のエッセイに、「輪郭と空洞」というものがあった。電車のなかで出会った少女の白いブラウスに見とれているうち、自分が見とれているのは糸によって形づくられたレース模様の輪郭なのか、レースの向こう側に透けている彼女の肌なのかわからなくなっ…

「良い伝え手」に必要なこと

内田麻理香さんのブログを拝見したら、自分の名前が出ていて驚きました。 3年前のmixiに書いた言葉を掘り起こしてみます。今見ても、彼女の発言はまったく古さを感じないし、色あせていない。雪朱里 さんにお会いした時、彼女から出た言葉。「ある分野の挫折…

「チェコのキュビズム建築とデザイン 1911-1925」展

先日銀座に行った際、INAXギャラリーにも寄って、「チェコのキュビズム建築とデザイン 1911-1925」展を観てきた。 ピカソ、ブラックが中心となって起こった20世紀初めの美術運動キュビズム。チェコでは世界で唯一、建築に応用され、プラハを中心とした各地に…

矢萩喜從郎展「Magnetic Vision/新作100点」

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の矢萩喜從郎展「Magnetic Vision/新作100点」を観た。 1988年の「Shot by a Sight」から続く矢萩喜從郎氏の視覚世界への探求。「Perceiving by Sight」(1992)、「One’s Point of View」(1994)、「Hidden Accumula…

画家という人々

今日読み終えた『知をみがく言葉 レオナルド・ダ・ヴィンチ』というダ・ヴィンチの語録に、こんな言葉があった。 絵画----やがては滅んでしまう 存在の移ろいやすい美しさをとどめておくことが できる素晴らしい科学。 美に、自然の作品を超える永続性を与え…

《 死の床のカミーユ 》1879年 クロード・モネ "Camille Monet on Her Deathbed" 90×68cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)*11879年9月5日、画家クロード・モネは最初の妻カミーユを32歳という若さで失った。深い悲しみの淵で、その妻の亡がらの色彩が…

子どもの頃の自分の傷つきを本当にわかっているのは自分しかいない

〜2008年6月21日の日記より〜 『ダ・ヴィンチ』2008年7月号は「梨木香歩」大特集*1。梨木さんのロングインタビューが載っている。今日から映画が公開される『西の魔女が死んだ』について語るなかに、表題の言葉があった。「つまりね、小さかった頃の自分の傷…

昭和のくらし博物館 開館10周年〜映画「家事の記録」上映会のお知らせ

大田区の昭和のくらし博物館が今年、開館10周年を迎えます。これを記念して、映画「家事の記録」上映会が行なわれることになりました。予約は4月18日(土)までだそうです。以下に詳細を掲載しますので、興味をおもちの方はぜひご参加ください。*記録映画「…

文字は語る「原田幹久さんに聞く 書とフォント」【追記あり】

月刊DTPWORLDで連載していた「文字は語る」最後の1本が公開されました。最後は紙媒体ではなく、月刊DTPWORLDの版元であるワークスコーポレーションが運営しているCGデザイナー・Webデザイナー・グラフィックデザイナーのためのクリエイティブ・タブロイド wi…

佐藤修悦『ガムテープで文字を書こう』

駅の工事現場から生まれた文字 佐藤修悦さんが本を出されたと知り、早速手に入れた。本のタイトルは、『ガムテープで文字を書こう』。「修悦体」で組まれたタイトル文字を表紙に見て、思わず顔がほころぶ。ガムテープで文字を書こう! ―話題の新書体「修悦体…

文字は語る「杉本幸治さんに聞く 本明朝」

取材・執筆を担当している月刊DTPWORLDの連載企画「文字は語る」の2009年5月号*1で、書体デザイナーの杉本幸治さんに「本明朝」についてうかがいました。 リョービイマジクスの基幹書体「本明朝」は、筆書きの感覚を残した優雅な柔らかさと、力強さとをあわ…

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

お金の話をすることは、はしたないと言われる。確かに「お金がすべて」ではない。けれども、だれしも生きていかなければならない。生きるとは、生活すること。そして生活するにはお金が必要だ。だから、お金について考えるのは、とても大事なことなのだ。西…

ていねいに、生きる。

きのう「余裕のないということは、心や生活を荒ませます。」などと書いたけれど、「忙しいから余裕がない」とは言いたくないのです。なんだかわがままですね。「忙しい」は「心を亡くす」と書く。 でも、忙しいぐらいに任せていただける仕事があるということ…