昭和のくらし博物館 開館10周年〜映画「家事の記録」上映会のお知らせ

大田区昭和のくらし博物館が今年、開館10周年を迎えます。これを記念して、映画「家事の記録」上映会が行なわれることになりました。予約は4月18日(土)までだそうです。以下に詳細を掲載しますので、興味をおもちの方はぜひご参加ください。

*記録映画「昭和の家事」公式サイト
 http://www.seikatusi.com/showa/showahome.html

ちなみにわたしも参加予定です。都合により行けなくなってしまいました。

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映画「家事の記録」上映会

民家を丸ごと公開した全国でもユニークな博物館として活動を続けている“昭和のくらし博物館”。今年で開館10周年を迎えます。これを記念して、記念のイベントを開催いたします。

第1部では博物館の10年の活動をご紹介し、幻燈会「夢のはとバスツアー」を再演。第2部では、小泉家の主婦であったスズさんの家事を記録した映画「家事の記録」を初公開します。これにあわせて小泉和子館長と映画監督・時枝俊江さんのトークを行います。
皆さまのご参加をぜひお待ちしております。

■日時 4月25日 (土) 午後1:30〜4:30(開場1:20)
■場所 大田区民プラザ 小ホール (東急多摩川線下丸子駅下車すぐ)大田区下丸子3-1-3 03-3750-1611

■内容
第1部 1:30〜

  • 写真で振り返る博物館の10年
  • 夢のはとバスツアー 上演:友の会シルエットクラブ(出演:鶴岡節子・片岡正二郎・平野広泰)

第2部 2:30〜

■参加 入場無料/要予約 
    電話、FAX、メールにて4/18(土)までに博物館へお申し込みください。

※懇親パーティー 
 記念会後に、博物館にて懇親会を行います。こちらのご参加もお待ちしております。
  時間 6:00〜8:00 
  場所 昭和のくらし博物館 
  費用 1,000円(要予約)
 
●映画 「家事の記録」●

映画「家事の記録」とは、小泉家の主婦であった故・小泉スズさんが健在だった約20年前に、岩波記録映画の監督であった時枝俊江さんと小泉館長が3年間かけて撮影したものです。20時間にも及ぶ記録の中から「着物をほどく」「布団を縫う」「おはぎ作り」「洗い張り」の4本を上映します。昭和の家事仕事の記録として貴重な映像で、今回が初公開となります。

制作:小泉和子 Koizumi Kazuko
家具・道具および建築を中心として生活史を研究する?小泉和子生活史研究所を主宰し、重要文化財建造物の家具・インテリアの復元および博物館・資料館の展示企画などを行う。1999年に実家を「昭和のくらし博物館」として開館し、以後の昭和展示・研究の先駆けとなる。『昭和のくらし博物館』(河出書房新社)、『昭和台所なつかし図鑑』(平凡社)、『室内と家具の歴史』(中央公論社)、『道具が語る生活史』(朝日選書)など著書多数。2008年「家具道具室内史学会」を立ち上げる。元京都女子大学教授。工学博士。

監督:時枝俊江 Tokieda Toshie
1950年日本映画社に勤務後、映画界に入る。翌年岩波映画製作所に入社し、1953年『幼児生活団の報告』で監督デビュー。1984年からフリーとなる。文京区シリーズの『絵図に偲ぶ江戸のくらし』(1977)、『ぶんきょうゆかりの文人たち』(1988)や『病院はきらいだ』(1991)はその年のキネマ旬報文化映画ベスト・テンの1位のみならず数多くの受賞歴に輝く。岩波映画にて手掛けた作品は100本以上に及ぶ。

助監督:今泉文子 Imaizumi Ayako/撮影:岩田まき子 Iwata Mkiko


●庭の幻燈会 「夢のはとバスツアー」●

昭和のくらし博物館をバックアップする活動をしている友の会が主宰する夏まつりにて、2002年に上演した野外幻燈会。博物館の庭の空間を活かし、夏の夜に白幕にスライド映像を投影しつつ、歌や芝居、ダンス、朗読をおりまぜて上演する。今回の演目の出演者は、元はとバスガイド・鶴岡節子と、レトロな雰囲気が人気の音楽集団「くものすカルテット」の片岡正二郎(唄/ヴァイオリン)と平野広泰(ギター)。構成・演出は、友の会の幻燈会チーム“シルエットクラブ”を率いる小松敏。

昭和のくらし博物館とは

家具史・生活史の研究者である小泉和子が、昭和26年建築に建った実家を1999年に博物館として丸ごと公開。建築技師だった父・小泉孝が設計した住宅は住宅金融公庫の融資を受けて建った最初期の公庫住宅であり、戦後の東京郊外の庶民住宅の様子を良く残しているということで、2002年に国の登録有形文化財の指定を受けた。昭和20〜30年代のくらしぶりを伝えるため家財道具を四季に合わせて展示する他、現代のくらしを見つめ直すきっかけとなるような企画展や特別展、講座、催し物などを行っている。

昭和のくらし博物館
〒146-0084東京都大田区南久が原2-26-19 
TEL&FAX 03−3750−1808
【交通】東急池上線「久が原」駅・東急多摩川線「下丸子」駅下車徒歩8分  
【開館】10:00〜17:00  【休館】月、火曜日・9月上旬・年末年始
【入館料】大人500円・小中高生300円 
【E-mail】showalhm@a03.itscom.net
【URL】http://www.showanokurashi.com

『家事の記録』手仕事の所作について

時枝:1991年のころから撮りはじめた『家事の記録』というものがあります。これは小泉和子さんのお母さんの仕事ぶりを撮った映画で、映画というよりもフィルムに記録しただけのものですが、小泉さんのお母さんは当時70歳代後半になっていらした。小泉さんが、「日本の記録映画には庶民の生活史を撮った資料がない。明治、大正、昭和を生きてきた自分のお母さんの映像を撮って残したい」。そういうことからはじまって、岩田まき子さんがカメラで、今泉さんに音を録ってもらったのですね。

これは本当にただただ家事を記録しただけなのですが、その方が住んでいる家は、戦後住宅金融公庫がはじめて融資して建てた18坪の家なのね。その家は、お母様が亡くなった後に、小泉さんが、昭和の暮らしの博物館にしました。そのお母さんの仕事ぶりを見ると、つまり『家事の記録』の映像を見ると、いろいろなことを考えさせられる。木のタライで洗濯しているのね、洗濯板でゴシゴシやって。そういう手洗いをして、それで1回のすすぎでほとんどの汚れがとれているのね。手仕事がいかに無駄がなく合理的なものか。そういうことが映像を見ていてわかる。

昔はお酒やビールは木の枠に入っていたの。その木の枠が縁の下に突っ込んである。かまどでご飯を炊く。火を焚く時には、ビールの木枠をずるずると出してきて、折る。もう木がすっかり乾燥しているものだから、手でポッキンと折れる…膝に当てて折る…そういう所作のひとつひとつが、今の私たちにはないですよね。針仕事をする前に針の数を数える。着物はさんざん着たら布団にする。いいとこだけとって半てんにする。七輪の火の余熱をうまく利用する。仕事の段取りのつけ方や、材料の利用の仕方を見ると、ゴミは少ないし、とても賢い。だから古いとか新しいとかはどういうことなのかだとか、合理的ってどういうことなのか…考えさせられることが多かったな。今、この時代に戻れというのは無理だけど、知恵は受け継いでもいいと思いました。

今泉:漬け物、お節料理など食べものもずいぶん撮影しましたよね。おはぎをつくった時なんか、できあがったものを撮らなければいけないのに。食べちゃってから「あら、撮らなかった」なんて(笑)。そういうまぬけも結構やってましたね。

時枝:またおはぎ、つくってもらってね(笑)。でも、記録映画は“時代”を写してしまうから、あれも50年も経ったら大変な記録になるわね。

山形国際ドキュメンタリー映画祭HP「ドキュメンタリー作家インタビュー」より)

みなさまのご参加をお待ちしています!