2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

焦土の中に萌えいずる緑

ふと書棚に目をやると、ずいぶん前に読みかけになっていた寺田寅彦の『柿の種』が目にとまった。手に取り開いた頁に書かれていたのがこの文章だった。 震災の火事の焼け跡の煙がまだ消えやらぬころ、黒焦げになった樹の幹に鉛丹(えんたん)色のかびのような…