「活字発祥の碑」


中央区築地のビルの一角に「活字発祥の碑」がある。昨日、印刷図書館で調べものをしていた際に、この石碑に関する資料をたまたま見かけたので、メモしておく。

「活字発祥の碑」は昭和46(1971)年5月末に建てられた。石碑建設のきっかけとなったのは、活字発祥の源である東京築地活版製造所の建物が、昭和44(1969)年3月に取り壊されることになったこと。印刷同業組合事務局に永年勤務していた牧治三郎*1が、全日本活字工業会の機関誌『活字界』第21号、第22号*2に東京築地活版製造所の社屋取り壊しの記事を連載し、これが端緒となって、何らかの形で残したいという声が大きくなり、全日本活字工業会総会にて、築地活版製造所跡の記念碑建設が決まったそうだ。

活字の石碑らしく、左右逆字ではないものの、文字部分が凸型に浮き出たかたちとなっている。この文字について、『活字発祥の碑』*3という冊子に記述があった。

 なお、表題である「活字発祥の碑」の文字については、書体は記念すべき築地活版の明朝体を旧書体のまま採用することとしましたが、これは35ポイントの見本帳(昭和11年改訂版)で、岩田母型のご好意によりお借りすることができたものです。
 また、記念碑は高さ80センチ、幅90センチの花崗岩*4で、表題の「活字発祥の碑」の文字は左から右へと横書きとし、碑文は右から左へ縦書きとし、そのレイアウトについては、大谷デザイン研究所・大谷先生の絶大なご協力をいただきました。(P.15)

朗文堂のブログに、「『 活字発祥の碑 』をめぐる諸資料から 機関誌『 印刷界 』と、パンフレット『 活字発祥の碑 』」という詳しい記事も発見。こちらもあわせてメモ。

*「活字発祥の碑」東京都中央区築地1丁目12-1 コンワビル敷地内

*1:1900〜没年不詳

*2:それぞれ昭和44年5月、7月発行

*3:昭和46年6月29日発行。活字発祥の碑建設委員会編纂、発行代表者:渡辺宗助、印刷・製本:今井印刷株式会社、発行者:活字発祥の碑建設委員会(全日本活字工業会内)

*4:かこうがん