書くということ

“向こう側”への想像力

以前、ある方と話していて、「世の中にあるほとんどすべてのものがデザインされていることを考えると、デザインというのはとても身近なことなのに、学校でデザインについて学ぶ機会がほとんどないというのは不思議なことだ」という話になったことがある。身…

むしろ「空洞」が文章を決定づける

小川洋子のエッセイに、「輪郭と空洞」というものがあった。電車のなかで出会った少女の白いブラウスに見とれているうち、自分が見とれているのは糸によって形づくられたレース模様の輪郭なのか、レースの向こう側に透けている彼女の肌なのかわからなくなっ…

「良い伝え手」に必要なこと

内田麻理香さんのブログを拝見したら、自分の名前が出ていて驚きました。 3年前のmixiに書いた言葉を掘り起こしてみます。今見ても、彼女の発言はまったく古さを感じないし、色あせていない。雪朱里 さんにお会いした時、彼女から出た言葉。「ある分野の挫折…

積み木のようにひとつひとつ。

昨日3月8日(日)は某企画展勉強会の中間報告会。テーマに詳しい方々が参加してくださり、いつもと違う視点からの指摘やアドバイスをたくさんいただいて、とてもためになる会だった。ふだんわたしが雑誌などで書いている文章は創作ではなく、取材してきた事…

「デザインすることは生きることと同じだと思う」

五十嵐威暢氏の本を読んでいたら、こんな言葉があった。 ちょっとキザな言い方かもしれないが、デザインすることは生きることと同じだと思う。人はどうやって自分らしく生きるかについて悩んでいる。デザイナーとしてなら、自分らしく何を表現するのかという…

文章力の“大リーグ養成ギプス”を装着してみる。

前回のエントリーでも取り上げた日垣隆氏の『すぐに稼げる文章術』に、こんな一節がありました。 「です」「ます」調は大リーグ養成ギプス 試しに、文章を「です」「ます」調で書いてみてはいかがでしょうか。なぜ「です」「ます」調のほうが「である」調よ…

『すぐに稼げる文章術』日垣隆

『すぐに稼げる文章術』とはまた、なんともえげつないタイトルである*1。「これ読んだよ」と言うのがためらわれるくらいに。けれど、ちょっと待てよ。「すぐに稼げる」というと、片手間にちょちょいっと文章を書いて簡単にお金が稼げますよ〜というアヤしい…

一人の人間とその時代を自分の力で学び取る以外に、歴史を学ぶ方法はない。

ふとしたきっかけで、朗文堂が1995〜1999年にかけて刊行していた小冊子文字百景 全100冊を入手した。そのなかの一冊、河野三男さんがスタンリー・モリスン*1について書かれたシリーズの冒頭にあった文章に強く引き寄せられて、その部分を何度も読み返した。 …

原稿用紙100枚、どうやって書きあげる?

齋藤孝著の『座右のゲーテ』で一番最初のノウハウとして紹介されているのが、「小さな対象だけを扱う」だ。壮大なテーマや膨大な量に取りかかろうとするとき、なにから手をつけてよいかわからず途方に暮れたまま、一歩も動けなくなってしまうことがある。そ…

「手を動かす」ことの効果

火曜日に放映されていた「プロフェッショナル 仕事の流儀」のなかで、宮崎駿監督は映画のアイデアが浮かんだとき、それをふくらませ育てるために、まずは自分の描きたい場面をひたすらにイメージボードに描いていくのだと言っていた。頭で考える前に、まずは…

読みやすさ、わかりやすさってなんだろう。

先日、鈴木一誌さんを取材した時に、「読みやすい紙面ってなんだろう」という話題になった。見た目どんなに読みにくそうな、ちっちゃーい文字の記事でも、そればっかりを夢中になって読んでしまうようなことがある。氏曰く、「結局のところ読みやすさという…

書こうと思ったもう一つの理由

なぜここに自分の見たこと聞いたもの、思ったこと考えたことを書こうと思ったのか。もう一つの大きな理由は、情けないようだけれど「忘れてしまうから」。 どちらかというと、こっちのほうがメインかもしれない。「書き留めておきたい」のだ、わたしは。 日…

「客観写生」

前エントリーに引き続き、深澤直人さんの『デザインの輪郭』から。この本には、深澤さん、本のアートディレクションを手がけた山口信博さん、写真を手がけた小泉佳春さんの対談がいくつか所収されている。山口さんは「方眼子」の俳号を持つ俳人でもある。深…