コトバ

すべての創造の源は

先日、粟津潔展を観に行ってから、会場に散りばめられた粟津氏の言葉に惹きつけられ、その著作を読みたいと強く思うようになった。そこで最初に手に取ったのが『粟津潔 デザインする言葉』。この本は、彼が1960年代から今日に至るまでさまざまな書籍で考察し…

一人の人間とその時代を自分の力で学び取る以外に、歴史を学ぶ方法はない。

ふとしたきっかけで、朗文堂が1995〜1999年にかけて刊行していた小冊子文字百景 全100冊を入手した。そのなかの一冊、河野三男さんがスタンリー・モリスン*1について書かれたシリーズの冒頭にあった文章に強く引き寄せられて、その部分を何度も読み返した。 …

オノ・ナツメ『さらい屋五葉』1〜4

以前から気になっていたオノ・ナツメ作品を初めて読んだ。作者としては初の時代もので、既存のファンには意外な路線だったようだけれど、なんとも味わい深い。「さらい屋」とは「かどわかし」つまり誘拐を稼業とする者。「五葉」はその組織の名前。組織とい…

人が休んでいる間に

昨晩、たまたまTVをつけていたら、「情熱大陸」が流れ始めた。俳優・松田翔太を取り上げた回だった。彼の出世作となった「花より男子」は観ていないのだけれど、「LIAR GAME」で観て以来、なんとなく気になっていたのだ。その端正な顔立ちや、すっとしたたた…

地を這うように/思想は一度持てばいいものではない

昭和のくらし博物館の勉強会へ。冒頭、小泉和子先生の言葉。 生活史では、上から物事を見るのではなく、地を這うようにしてものを見ていくことが大切なんです。それがわたしたちのスタンス。 ガツン。決して忘れてはいけない視点。メンバーの発表に対しての…

蓮は

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」 見事な蓮だった。* * * *大学時代、「Lotus Blossom」という曲を演奏したっけ。かっこいい曲なんだこれが。Kenny Dorhamの「QUIET KENNY(静かなるケニー)」に収録されている演奏が有名だけど、あのまったりした感じ…

あるがままを受け止める

昨日参加した某ワークショップで、講師の方のある言葉が心に残った。 あるがままを受け止めて、そこから何ができるか考えよう。 差別や偏見に苦しむ人々への支援活動を行なっている立場からの言葉で、実際に行動に移してきた人ならではの重みをたたえていた…

「我事に於て後悔せず」

ひと月ほど前に読んだ小林秀雄の文章「私の人生観」(昭和24年)に、宮本武蔵の独行道のなかの一条、「我事に於て後悔せず」という言葉について触れられた部分があり、メモしてあった。その時には腑に落ち切らず、しかし素通りすることもできなくてメモした…

「今のど真ん中の繰り返し」

井上雄彦さんの『バガボンド』を28巻まで読んだ。ああ、いますぐにでも「最後のマンガ展」を観に行きたい。気がはやる。心に残った言葉をいくつか。 先を何も望むな先にも 後にも 寄りかからず今の ど真ん中の 繰り返し(井上雄彦『バガボンド』28巻) 武蔵…

プラスアルファがプロの証し

録画してあったなかから、6月10日放映の「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た。野生の猛禽類を救い続ける獣医師・齋藤慶輔さんの回。 ペットや家畜と違い、野生の猛きん類の治療に教科書はない。齊藤は、試行錯誤を重ね、自ら治療法を編み出してきた。 …

「生きるために水を飲むような読書」をしよう。

齋藤(略)もう一つは、「言葉を味方につける」。人に言われて嬉しかった言葉は、ちゃんと手帳にメモして残しておくとか、人から来たいいメールのみ残しておく、ということをやってみる。私は携帯でメールのやりとりをすることがあるのですが、携帯に残って…

ぐちを言っている女の子が、美しく見えたなんてことは一度もありません。

――苦しみは変わらない。変わるのは希望だけだ。 ――「わかれ道」を通るためには、ひとは誰でも選ばねばならない。 ――ほんとに愛しはじめたときにだけ淋しさが訪れるのです。 ――ぐちを言っている女の子が、美しく見えたなんてことは一度もありません。 ――生き…

「緊張」って悪いことだと思われていませんか?

前の記事を書いていて、前に自分が書いた文章を思い出した。* * * *わたしは、あがり症だ。子どものころから、ずっと。 学生時代まではとりわけ相当なもので、大学でジャズ研に所属していた*1時も、最初の2年間ぐらいは人前で演奏する機会があるたびに、…