「緊張」って悪いことだと思われていませんか?

前の記事を書いていて、前に自分が書いた文章を思い出した。

* * * *

わたしは、あがり症だ。子どものころから、ずっと。

学生時代まではとりわけ相当なもので、大学でジャズ研に所属していた*1時も、最初の2年間ぐらいは人前で演奏する機会があるたびに、遠く離れた客席からもそうとわかるほどにガタガタと手が震えて、先輩に笑われたりしたものだった。

ジャズ研の経験を通じてずいぶん度胸がついたとはいえ、仕事のうえではいまだに「緊張しい」だ。そうは見えないらしいけど(見えたら困るか)、そうなのだ。取材やインタビューという行為を日常的に行なうようになって10年ほども経つというのに、いまだに、だ。正直言って、取材の前は毎回緊張する。

以前はそれをあまり良くないことのように思っていたのだけれど、いつだったかの『広告批評』でクリエイティブディレクター・箭内道彦さんの言葉を読んで、目からウロコが落ちた。

 ちょっと話変わりますけど、いま「緊張」って悪いことだと思われてません? 僕、絶対必要だって思うんですけどね。緊張は相手とその場をすごく大事にしていることの証明。(後略)

……ああ!
本当にそうだ。
その取材が、その相手が大事だと思えば思うほど、事前の緊張は大きくなる。
けれど、

「緊張は相手とその場をすごく大事にしていることの証明」

そうか、緊張するのは恥ずかしいことでもダメなことでもなんでもないんだ。
そう思ったら、なんだかとっても楽になったのだ。

* * * *

加えて、前の記事で触れたように、「緊張」は自分のやる気を引き出してくれる存在らしい。これはどうやら、「緊張」というヤツは思ったより悪いヤツじゃなさそうだぞ(むしろ、いいヤツらしいぞ)。

*1:アルトサックスを吹いていた。下手だったが。