文字は語る「山本太郎さんに聞く 美しいタイポグラフィの追求 アドビ システムズの取り組み」


取材・執筆を担当している月刊DTPWORLDの連載企画「文字は語る」の2009年1月号*1では、アドビ システムズ山本太郎さんに「美しいタイポグラフィの追求」と、それに対する「アドビ システムズの取り組み」についてうかがってきました。

私たちはデジタルフォントを組むとき、なんらかのアプリケーションソフトを使っている。山本太郎さんは、それを支えるフォントフォーマットの技術開発や書体開発などを通じ、日本語フォントをより美しく効率的に組めるように環境を整備する仕事をしている。
タイポグラフィ組版に対する考えを聞いた。
   ーー月刊「DTPWORLD」2009年1月号「文字は語る」リードより

文字について、ぜひお話を聞いてみたい方の一人が、山本太郎さん*2でした。アドビで日本語フォントの開発に取り組んでいらっしゃる山本さん。あちこちで原稿や講演録などを拝見するたび、尽きることのない文字への愛をひしひしと感じたのです。日本語組版を支える最先端の位置にいながら、その視線の先にあるのは未来だけではなく……、いえ、確かに未来を見据えているのですが、古代ローマから脈々と受け継がれてきた文字の歴史という原点をしっかりと自分のものにしていらっしゃるという印象でした。

実際にお会いしてみて、その印象はより確たるものとなりました。熱い語り口はよどむことを知らず、本当に文字が好きなんだなあと感じるばかり。うかがいたいことはたくさんあり、コンパクトな記事スペースのなかに入れられなかったお話もたくさんありますが、山本さんがタイポグラフィにおいて大切にしていらっしゃること、そして「正方形のボディからの脱出」を図り、手書き文字の自由な形態をデジタルタイプフェイスとして表現しようとしている開発中の書体「かづらき」についてテーマを絞って、記事をまとめています。

書店でお見かけの際は、手にとってみていただけるとうれしいです。

さて、書ききれなかったお話のなかから一つ。「美しいタイポグラフィ」を追求してやまない山本太郎さんに、たとえばどなたのお仕事を見て目を養うのがよいか、おすすめをうかがってみました。日本語に関しては、山本さんが武蔵野美術大学在学中から敬愛してやまない清原悦志さんの作品が勉強になりますよ、とのこと。

「清原さんの作品は、文字組み、組版のディテールは細かく突き詰め、非常にクオリティが高いものを作りながら、全体の構成は大胆かつ実験的で、ある意味、過激。日本語のタイポグラフィという点で、清原さんの作品は非常に参考になると思います。学生には特にいいと思いますよ」

よかったら、DTPWORLDの記事とあわせて、ご覧になってみてください。
清原悦志書籍リスト
→『アイデア』のアートディレクター白井敬尚さんインタビュー。師・清原悦志氏のことも話していらっしゃいます。 http://biz.toppan.co.jp/gainfo/cf/19_shirai/p1.html