「日本デザインセンター50年の軌跡」特集――『デザインノート』No.35で、永井一正さん、原研哉さんにインタビューほか

1月26日に発売された『デザインノート』*1No.35は、「日本デザインセンター50年の軌跡」。昨年50周年を迎えたNDCの創立前夜から現在、そして未来をまとめた一冊まるごとNDC特集です。こちらで、NDCの創立期を支えた巨匠たちの作品と人物紹介(亀倉雄策氏、原弘氏、山城隆一氏、田中一光氏)、永井一正さんと原研哉さん、鈴木清文社長へのインタビュー、創立前夜から現在までをデザイン周辺の動きとともに一望する年表など、全36ページの取材・構成・文を担当しました。

デザインノート no.35―デザインのメイキングマガジン 日本デザインセンター50年の軌跡 (SEIBUNDO Mook)

1960 NDC誕生。そして……

1960年、日本デザインセンター(NDC)は産声を上げた。
それは、戦後の焼け野原から再出発した日本が、経済的自立を目指し、驚くべきスピードで高度成長の道を駆けのぼり始めた時期であり、また、先進的な日本企業がマーケティング活動における広告活動、デザインの大切さに着目し始めた時期だった。
当時、朝日新聞経団連担当記者だった鈴木松夫(後のNDC会長)は、考えていた。「これからの企業が成長するには、広告の力が不可欠だ。そしてまた、広告はこれからのデザインの大きな分野でもある。広告の質を高めなければ日本の企業やデザイン文化は良くならない、日本を良くするには企業とデザイナーが結びつくことが必要なのだ」と。
そうして鈴木は、朝日新聞美術記者の小川正隆(当時。後に富山県立近代美術館長)とともに財界の巨頭たちとデザイン界のきら星たちを結びつけ、日本デザインセンターという、当時世界最大級のデザイン専門会社を生みだした。
設立趣意書には、このような意味のことが書かれていたという。
〈一業一社を原則に、産業界の要請に対応しうるようデザインと広告の表現技術を組織化すること、そして、わが国の広告デザインの健全な発展と、質的水準の向上をはかるため、ひとつの集団としての強力な創造の場をつくること〉
〈これは世界でも画期的な“事業”であり、また同時に注目すべき“運動”でもあります。〉
高らかなその宣言は、デザインを担う者としての誇りにあふれている。

2010年、NDCは50周年を迎えた。
この節目に、創立期を支えた巨匠たちを、あらためて紹介する。

ーーNDC STORY Vol.1 トビラより

記事の執筆にあたり、改めて1950年代から現在までのデザイン界の動きを調べましたが、戦後日本が復興から成長へと歩み始めた1950年代、「デザインによって生活を豊かにしよう、社会を動かそう」という、時代の大きなうねりが生まれていくさまが資料から感じられて、胸が熱くなりました。永井一正さんには、そんな当時の息遣いと、仕事にも遊びにも真剣に才能を注ぎこんでいらした様子を語っていただきました。

そして原研哉さんのお話。
瀬戸内国際芸術祭のメイキングページでは、原さんがモレスキンのノートに描かれた地図のラフを掲載。ロゴのイメージスケッチが見られるのが貴重です。
また巻末インタビューNDC STORY Vol.2では、タイトルとして掲げた「未来のビジョンを築きつつ、最後の書籍を看取る覚悟を持つ。グラフィックデザイナーだからこそできる、次の仕事の形ーー」のとおり、「これからのデザインにできること」を語っていただきました。

ぜひ手にとっていただければ幸いです。

*1:公式サイト http://design-note.jp/