「折形・無形のデザイン」展

某日、松屋銀座のデザインギャラリー1953で開催されている企画展「折形・無形のデザイン」を観に行った。

折形は、600年の昔から上級武士社会の中で秘伝とされていた、和紙による包み方の作法をいいます。
モノやお金を包んで自分自身の気持や先方の心配りなどを表しましたが、現代の私たちの生活にもそうした精神は引き継がれています。今回、デザインギャラリーでご覧いただくのは、古式に則った折形に現代的な解釈を加え、一枚の紙を折ることで生まれる可能性を探る展覧会です。本展では、会場構成を小泉誠が担当。
2009年の年明けを飾るデザインギャラリー企画展に相応しい、小泉誠+折形デザイン研究所のコラボレーションをお楽しみ下さい。

催しもの情報 | 松屋銀座

会場近くに足を踏み入れると、心地よい木の香りがふんわり漂ってきた。展示台に使われている木材の香りだ。屏風型のパネルに紅白という寿ぎの色を彩り、きりりと美しくレイアウトされた折形についての解説と、木の香りとが、展示空間を清浄なものにしているようで、自然と気が引き締まる。

シンプルな展示だったが、はじめて折形にふれる人には、折形がどういうものかよくわかる内容になっている。「山折り谷折りの組み合わせが作用しあうとき、ねじれが生まれる」という「偶力によるねじれの所作」が興味深かった。1枚の紙を折るだけで、多様な形が生まれる。折形デザイン研究所の作品を見るたび、いつもそのことに驚かされる。

展覧会は1月26日まで。20日(火)午後には山口信博さん、折形デザイン研究所による折形のワークショップ(有料)があるそうだ。

*日本デザインコミッティーのページ http://designcommittee.jp/index.html#history/2008/651
*過去に折形デザイン研究所を取材したもの 『デザインノート』No.20で折形デザイン研究所・山口信博さんにインタビュー - 雪景色『デザインノートNo.4 紙』 - 雪景色

会場でかわいらしい「お年賀」を販売していたので、買ってきた。

1枚の紙を折るだけで、この箱は作られている。「内ろっかく」という作品だ*1。なかには折形デザイン研究所オリジナルのお干菓子「和三盆干菓子 三かく四かく」が3個詰められている*2。ささやかだけれど、贈られるとほっこりとうれしくなるような取り合わせだ。