たむけんと「広告」と。

7月末に発売された雑誌『広告』(博報堂)の特集が、全編「漢字タイポス」で組まれていると聞いたのは、すこし前のことでした。「タイポス」。写植世代にはたいへん懐かしいフォントです。

1960〜70年代に一世を風靡し、新書体ブームのきっかけをつくったデザイン書体「タイポス」。
タイポスの発表はあまりにもかな字形に強い印象を与えたため、漢字の無いかな専用書体と思われていました。
漢字字形については1968年グループ・タイポの機関誌に発表。1970年グラフィックデザイン誌39号にタイポス漢字を紹介。1972年タイポス46漢字制作開始。
1976年写研の協力を得て写植字盤を制作して約6000字の試印字。これらを基礎にして2006年「漢字タイポス」の制作を開始しました。

http://www.dex.ne.jp/download/font/brand/typebank.html

印刷会社に勤めていた約15年前、写研の書体見本帳でタイポスを見て、そのかわいらしいたたずまいがとても好きになり、自分で写植指定する時にはよく使ったものでした。当時、それが1960〜70年代に一世を風靡した書体とは知らなかったのですが*1

さて、『広告』誌2008年9月号の発売と時期を同じくしてデジタルフォント「漢字タイポス」に新たに追加3書体がリリースされ、全5書体のファミリーがそろったのだそうです。特集に「漢字タイポス」が使われたというのは、そのタイアップということでしょうか。どれどれ……と近くの書店に『広告』を探しに行くと、すぐに見つけることができました。特集は「ことばエネルギー2」。前回の「ことばエネルギー」特集もおもしろかったな。やはり「買い」でしょう。

……なのに、そのまま書店でレジに行くことができず、その日は買わずに帰ってしまいました。
その後も何度か躊躇しては棚に戻し、結局Amazonで購入することに。
お目当ての『広告』2008年9月号、こんな表紙なのでした。




ばばん。
広告 2008年 09月号 [雑誌]





……たむけんさんの衣装は日本男子の象徴、褌ですから、賢明なるみなさんは、表4に載っている後ろ姿も想像なさっていることでしょう。ええ、想像は裏切られません。

別に嫌いじゃないですよ、たむけん。インパクト大の素晴らしい表紙です。でもごめんなさい、三十路とはいえ女子のはしくれとして、なんとなくレジに持って行きづらかった小心者(?)です。……タイポスの話はどこへ行った。

*1:不勉強……。