やる気を引き出すのは「緊張」か「目的」か?!

少し前に、金井壽宏氏の『やる気!攻略本』という本を読んだ。このごろ、モチベーションが上がらない場面に遭遇して悩んだりもしていたので、知人のブログで紹介されていたこの本に手が伸びたのだ。

わかりやすくゲーム感覚で、あくまで実用書に徹して書かれているこの本では、まず、

「どのようなときに、自分は、がんばることができるのか?」
「どのようなときに、自分は、落ちこんでしまうのだろう?」

ということを読者に考えさせる。

そして、「やる気」が出るサイクルを簡単に2つのタイプに分けている。

「緊張」を感じて、緊張を「低減」しようとして動きはじめる
のか、
「目的」を抱いて、目的を「成就」しようとして動きはじめる
のか。
もちろん、このふたつは表裏一体で、やる気はこのふたつのあいだを揺れ動いているものという。でも、どちらかといえば「緊張」と「目的」のどちらの過程にいるときのほうが、「やる気」が出てくるほうなのか?

緊張しているから、動き出す。
目的を意識するので、歩み出す。
緊張に、極端に弱い。
目的は、サボりがち。

さて、わたしはどちらだろう。

緊張している状態は、正直とてもつらい。
プレッシャーに押しつぶされそうになるような状況は、避けて通りたい。
そんなつらい道よりも、「目的を意識することで歩み出す」というほうが、ポジティブな感じも受けるし、いいなあ。 じゃあ、わたしのやる気を左右するのは「目的力」かなあ。

でも、待てよ。それはあくまでも「つらいのはいやだなあ」というわたしの希望。 ちょっと主観を離れて、客観的に自分を見てみると、これまでなにかを成し遂げたとき、力を発揮できたと思えるときというのは、緊張やプレッシャーに突き動かされたからなんじゃないか。

たとえば、編集長を任されたとき。
たとえば、なにか大きなプロジェクトを任されたとき。
たとえば、とてもむずかしい取材相手を取材することになったとき。

その時の自分の能力を明らかに上回ると思えることをやらなければならない状況に置かれたとき、渦中にあるときはそれはもう死ぬ思いをして取り組むのだけれど、モチベーションは確実に高まって、なんとか乗り越えようとあがくんじゃないか。

反面、そういう追いつめられた状況にないと、目的を掲げていてもどうにも自己統制がきかず、だらりだらりと過ごしてしまう。

ということはつまり、
「将来の目的をありありと思いえがくことよりも、近々の緊張のほうが自分を奮いたたせるのかもしれない」。

たとえばそういう人なら、

「突破するべき苦境を作る」
「必要な条件を明確にする」
「期限と数値を明確に作る」
 と、緊張を作りだして、自分をあおるための方針があるのだということを、言葉にしたらいいのだろうなぁ

それが、「やる気」の自己調整ができるかどうかに、おおきく影響を与えてくれるだろう、と金井氏は書いている。

突破すべき苦境を作る、かあ。つらそうだなあ。つらいのいやだなあ。できればラクーに過ごしたいなあ。
……でも。
よく「こんな仕事ほんとに自分にできるのか?!」とプレッシャーを感じて尻尾を巻いて逃げ出したくなるのだが、ちらりとでも「でも、おもしろそう」とか、「やりがいがあるな」とか感じるのであれば、それは絶対に逃げ出さずに、飛び込め!と。「苦境」って言葉は見るからにつらそうでいやだから、「逃げるな、飛び込め!」と。それだけ覚えておくようにしよう。

そして、つくづく思ったこと。
〆切のある仕事でよかったんだなあ、わたし。

* * * *

それにしても最近、「働くこと」をテーマにした本ばっかり読んでいる。「仕事」ということ、その位置づけや自分の気持ち、そういうことを常に考えていたいんだな、どうも。なににつけても、「なぜやるのか」ということが腑に落ちていないと、歩けないらしい。不器用なんだなあ。

やる気!攻略本

やる気!攻略本