『文字講座』本が届きました。

今週末ごろから書店店頭に並ぶ予定の書籍『文字講座』が完成し、手元に届きました。何度もゲラと向き合ってきましたが、こうして本の形となって手に取ると、ほんとうにうれしいものです。にやにやしながら手に取っては愛おしそうにながめ、なでまわし、ページを繰るものの、ドキドキして凝視できない。そんな様子は、はたから見るとたいへん怪しいことうけあいですが、幸いわたしは一人で仕事をしていますので、思う存分うっとりすることができます。

いまをさかのぼること十数年前、自分の文章が載ったMOOKが「書店に並んでいる」のを生まれて初めて見たとき、わずか3分の1ページ程度のコラムしか書いていない、しかも無記名の情報コラムだったにもかかわらず、「これ! わたしが書いた文章が載ってるんです!」と叫びたくなるほどにうれしく、しばし売り場をうろうろし、その本を手に取る人を見かけようものなら「お願いだから買ってください〜〜」と祈り続けたものでした。←やっぱり不審

あれからずいぶん経ちましたが、かかわった本が手元に届いた瞬間の喜びというのはちっとも変わりません。

さて、目次を紹介した前回のエントリーで、ブックデザインが有山達也さん*1であると書きました。文字の本だからよけいな色はいらない、文字の美しさだけで勝負したいと有山さん。使用書体は写研の「岩田細明朝体 ILMA」*2ひとつだけ。表紙も目次も本文も奥付も、すべて同じです。電算写植で作りました。

『文字講座』、まもなく発売です。

文字講座

文字講座

*1:有山さんは雑誌『ku:nel』のアートディレクションなどを手がけています。エディトリアルはもちろん、世田谷パブリックシアターの宣伝美術のお仕事など、非常に美しい文字づかいをなさる方です。参考インタビューはこちら→ http://biz.toppan.co.jp/gainfo/cf/ariyama/p1.html

*2:こちらのページに岩田細明朝体 ILMAの書体見本があります。→ http://www.e-japanart.co.jp/pages/shaken/index2.html