「スラムダンク」を読み終えた

先日、「スラムダンク」を全巻読み終えた。
身体も心もぶるぶる震えて、しばし放心状態になった。この余韻から抜け出したくなくて、一切のインプットを断ちたいような衝動に駆られた。スポーツマンガには目がないほうなのに、なぜいままでちゃんと読んでいなかったのだろう。連載開始期には「ジャンプ」で読んでいたというのに。

上野の森美術館でいま、「井上雄彦 最後のマンガ展」をやっている。それを観に行きたいなあ……と思った。

どうやら「バガボンド」を全部読んでから行ったほうが楽しめるらしい。「バガボンド」は途中までしか読んでないなあ。読まなくちゃ。……待てよ。そういえばわたし、「スラムダンク」って最後まで読んだっけ?! あわててまずは「スラムダンク」を読み始めた。……引き込まれた。

自分がどこまで行けるか、決められるのは自分だけ。
ここまでだと思ったら、そこまで。

http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/message.html

スラムダンク スカラシップ」創設のメッセージで、井上雄彦さんはそう言っている。


スラムダンク」では、どんなにすごい才能の持ち主でも、とてつもない努力を日々重ねている。日々のそうした積み重ねこそが、才能を支え、試合で花開く。しかもその「努力」を彼らは別に強いられているわけじゃない。楽しいのだ。ただ、楽しいのだ。だから決してあきらめない。「ここまで」にしたくないから。

主人公だけでなく、登場人物一人ひとりにきちんとスポットを当て、それぞれが抱えているドラマをていねいに描いているのもいい。どんなに地味なキャラクターでもそれぞれの「活きる道」がある。必要じゃないヤツなんて、一人もいないのだ。

多くの人が日本のバスケは弱いと言う。
日本人には無理だと言う。
日本人自身がそう思っている限りは、
それ以上にはならない。
プレイヤー、指導者、そしてサポーターも。
いつの間にか僕たちが
自ら設定してしまった壁を、壊したい。

http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/message.html

いま、井上雄彦さん自身が、自分を取り囲もうとする壁を突き崩しながら、マンガという表現方法でこれまでだれもたどりつけなかったようなところを目指して進み続けているのだろうな。「井上雄彦 最後のマンガ展」、相当な混雑ぶりのようだけれど、なんとか時間をつくって観に行きたい。