「あなたは素晴らしい」と伝えること

季節はすっかり秋になってしまったが、「サマーウォーズ」を観てきた。子どももわたしも楽しめる映画だった。

くわしい話はさておき、観終わってからずっとつらつらと考えていることがある。

主人公・健二が、ヒロイン夏希の曾祖母・栄と花札勝負をしていて、こう言われる場面がある。「私がこれに勝ったら、夏希のことを頼みますよ」。室町時代から数百年続く陣内家の16代目当主である栄はたいへん厳格な人で、これまで孫娘が連れてきた彼氏を認めないことが何度もあったというエピソードが語られているほど。その栄が曾孫である夏希を「よろしく頼みますよ」と言う、ということは、健二に対して「あなたは素晴らしい」と伝えていることと同じではないだろうか。だからこそ、その場面を胸に、健二は自分を奮い立たせることができた。そんなふうに感じた。

だれかのことを素晴らしいと思ったとき、きちんと相手に伝えていく。そのことで、その言葉をもらった「だれか」は勇気をもつことができる。元気になることができる。「あなたは素晴らしい」と伝えることの先には、とても豊かな広がりがある。